有名な小説です。ダニエル・キイスと言えば多重人格を書くのが得意ですが、 この小説ではいわゆる普通の多重人格は扱われていません。
普通の人よりIQが劣っている主人公、チャーリイ・ゴードンは 知力を増大させる手術を受けることになる。
そして手術は成功し、彼の知力はどんどんと高まっていく。
ひと足先に手術され、今や天才ネズミとなったアルジャーノンと一緒に暮らしながら 彼は誰も手の届かない高い知力を得るのだが...
ここから先は御自分で確かめて下さい。
この小説は全てチャーリイ自身の書く「経過報告」の記録として書かれています。
そのため知力の低い最初は平仮名ばかり、「てにをは」も句読点もめちゃくちゃの
「けーかほおこく」となっています。ここで投げ出してしまう人がいますが、
もう少し頑張って読み進んで下さい。
愚かで不器用なチャーリイ。
そんな彼が、みるみる天才へと変貌していきます。
周りの人々の戸惑い。そして何より、
今までの自分を理解していくチャーリイ自身の戸惑い。
そして、人間以上の知力を得るようになってからの、
チャーリイの孤独。
やがて訪れる転機…。
名作と呼ばれるにふさわしい作品です。
何より素晴らしいのは、最後の一行です。
物語は、最後の一行へとまっすぐに収束し、
この最後の一行が、物語の全てを貫き、
このせつなさの全てを描き出すのです。
そういうわけで、この作品を立ち読みして、買うかどうかを決める際には、
最後の方を読まないよう十分注意して下さい。
ハードカバー版しか存在しないので、気軽には買えませんが、 是非一度読んでみて下さい。