アーシュラ・K・ル・グィン。SF作家。
西の良い魔女と呼ばれるように、アメリカの西海岸で、
魔法のかかったような作品を次々と世に送り出している女性作家です。
SFにしては珍しく、軟らかい平易な語り口で語られる作品が多いようですが、
その世界の厚みは他に類を見ないほどではないでしょうか。
その世界での伝説、信仰、風習などをおり混ぜながら、
我々の世界とは全く違う世界の中へ知らず知らずのうちに導いてくれます。
大学生になって、そのタイトルの響きにつられて「闇の左手」を買ったのですが、
あとがきを読んで、この作者をずっと前から知っていたことに驚きました。
彼女は、私が強く影響を受けている子ども向けファンタジー、
「ゲド戦記」の作者だったのです。
「ゲド戦記」を図書館から借りて読んだ時、
子ども向け作品であるのにそのあまりの世界観の深さ、
語られる内容の濃密さに引き込まれたことを覚えています。
SF、ファンタジーで各種の賞をうけ、
一般文学の作者としても評価が高いと聞いています。
書店で見かけたら、手にとってみてはいかがでしょうか。
余談になりますが、「ゲド戦記」の挿絵はいい味を出してます。
版画風の、ごつごつしたふうあいの挿絵で、
子ども向けとは思えないような味わいですが、
この絵でこそ「ゲド」と言えるような気がします。
しかし、4作目でこの挿絵が変わってしまい、
あの味わいがなくなってしまいました。
もともと3作で完結した作品であり、
4作目はかなり感じが違ったものになっていますが、
一応続きものなので、書店で見て「間違えた」とか言って慌てる必要はありません。