アニメーション映画。知る人ぞ知るGAINAXの作品。
地球であって地球ではないどこかの惑星でのお話。
時はまだ宇宙がそれほど近くなかったころ。
主人公、シロツグ・ラーダットはいわゆる「落ちこぼれ」。
小さいころパイロットを夢見ていた彼は、結局うだつの上がらぬ宇宙軍に就職して、 ただ何となく毎日を送っている。
今日もいつものように仲間と夜の街へ繰り出した彼は、 歓楽街の一隅でビラを配る一人の少女に出会う。
マイナーな神の教えを説いているらしい彼女に注意を払う者は少なく、 彼の目に彼女はあまりに小さく映った。翌日。
いい加減な、そして多分に下心を含んだ気持ちで彼は少女の家を訪れる。
彼女との会話の中で、宇宙軍に勤めている、と彼は明かす。 今まで宇宙軍と聞いて、あまり良い反応をした人はいなかった。 知名度は低く、貴族の道楽で運用されている、 誰と戦うこともない軍隊。 落ちこぼれの集団。そんな評価が返ってくるはずだった。 それなのに彼女は彼を素晴らしい人だという。
戦争をしない軍隊。
宇宙という見果てぬ世界に踏み込んでいく、勇敢な宇宙飛行士。
彼は、自分の目標となるものを与えられる。こうして彼は、人類初の宇宙飛行士に志願する…。
全く先の見えない(失敗続きで、政治的にも見放されて予算は施設の
解体費しか出ない!)宇宙軍の中で暮らしている主人公に自分が重なって、
そんな彼の一大転機を見ているうちに自分にもやる気が湧いてくる作品です。
政治的策謀、汚職にまつわる黒い金で作られるロケット。
そして彼の信頼する人物の事故死。
彼を取り巻く世界は、決して夢だけでは作られないことに、 彼は次第に直面させられていく。
一方で、宇宙飛行士としての彼はヒーローであることを要求される。 星の世界へと挑む勇敢な男。 人々の希望。
いったい自分は何者なのか。
貧困に満ちた世界の中で、多くの犠牲を払ってまで、 ロケットを飛ばすことの意義は。
疑問は、彼の中で大きくなっていく…。
彼はどんな結論を出すのでしょうか。
そして彼の仲間は。
果たして人類初の有人宇宙飛行は成功するのでしょうか。
是非一度見ていただきたい逸品です。
音楽監督はあの坂本龍一。ラストエンペラーの前の仕事です。 相変わらずいい仕事をしてくれます。
レンタルビデオにあると思いますし、LDのメモリアルボックスは
まだ取り寄せられると思います。
小説版は朝日ソノラマから文庫として出されています。(上下巻)