戦争と平和

機動警察パトレイバー2



PATLABOR 2 the Movie

PATLABOR 1から3年後。
特車2課のメンバーはそれぞれ栄転や転属で離れ離れになっている。
隊長の後藤はまだ残っているものの、新しく入隊してきた「今時の若者」達とは どうもしっくりいかない。

そんなある日、突然ベイブリッジが戦闘機に爆撃された!
続々と不穏な動きが起こる。
それは、「自衛隊のクーデター」の可能性を示唆していた。
しかし、突然接触してきた怪しい男、陸幕調査部の荒川によると、 これらはすべて、ある男の演出だという。

拓殖行人。
PKOに派兵され、ゲリラと交戦すら許可されず全滅した 自衛隊レイバー部隊の隊長であり、ただ一人の生き残りであった。
そして、後藤の同僚であり、後藤が密かに思いをよせる南雲にとって、 彼は特別な人物であった。

事態はいよいよ緊迫し、首都東京に戒厳令が発令される。
そしてついに3機の攻撃ヘリが東京に牙をむいた。
交通の遮断と電波妨害でその機能を停止する東京。
事態を把握しない上層部に三下り半を叩きつけ、今やお尋ね者となった 後藤と南雲に、かつての部下が次々と馳せ参じる。
「明朝7時以降、事態が改善しなかったなら米軍が介入する。 この国はもう一度、戦後からやり直すことになるのさ...」 不気味に笑う荒川。
それまでに、埋立地に潜伏する首謀者、 拓殖を逮捕すべく行動する特車2課の面々。
「特車2課第2小隊、最後の出撃だ。存分にやれ。」

長い地下トンネルでの死闘の後で南雲は何を見るのか?

この映画のテーマは戦争と平和、そして男と女です。
第一のテーマ、戦争と平和については劇中での後藤と荒川の会話が 全てを語っています。
世界のどこかで続いている戦争。我々はそれをモニターの向うに押し込め、 この国の平和の中に生きています。
「だがこの国の、この街の平和とは一体なんだ?
戦争への恐怖に基づくなりふり構わぬ平和。
その成果だけはしっかり受け止めておきながら、 戦争には目をそらし続ける不正義の平和。
欺瞞に満ちた平和と真実としての戦争。」
そんな荒川の言葉に、我々は一体どう答えたら良いのでしょう。

是非一度御覧になっていただきたい作品です。

初期OVAシリーズの第5話、第6話「二課の一番長い日(前編/後編)」でも、 やはり自衛隊のクーデターものが語られています。
しかし、その描かれ方には非常に大きな違いがあります。
「二課の一番長い日」では、クーデターはあくまで闘争であり、 首謀者の甲斐も、それに対する後藤、南雲といった登場人物たちも、 何か「熱さ」をはらんでいます。
それに対し、この映画でのクーデターの首謀者拓殖は、 彼岸からじっとこちらを見つめ続ける、一種「神の目」として描かれます。
この辺りの違いも、非常に面白いのではないでしょうか。

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