やわらかい線の軽さ

ゆうきまさみ



ゆうきまさみ。漫画家。

少年漫画の中堅といった存在でしょうか。 それほどマイナーな存在ではありません。
「究極超人あ〜る」というギャグ漫画でメジャー誌デビュー(少年サンデー)。 この時、小数だが熱烈なファンができました。
「機動警察パトレイバー」で一気にメジャー化。
現在は「じゃじゃ馬グルーミン・UP!」を連載中。
というのが、多くの人の認識するゆうきまさみの歴史だと思います。

しかし、彼にはメジャーデビュー前から、熱烈なファンがいました。
彼のデビューは「月刊OUT」。 既存のアニメのキャラクターを使ったパロディ、アニパロの作家として 彼の漫画家生活は始まったのです。
彼の描く、本物以上に可愛いキャラクターに、 カルト的なファンがつき始めます。
この辺のことは、私も伝聞でしかないので、あまり大きなことは書けないのですが、 ゆうきまさみのすっきりした、やわらかい線、 そして何処かすっとぼけたギャグ。 確かに人気は出たであろうことは想像に難くありません。

彼の漫画を、初期の方から順に見ていくと、 彼の漫画の変化が良くわかって、また面白いものです。
初期の作品では、16ページや24ページでさまざまなジャンルの作品を描き、 彼の中で何かを探っている感じが見受けられます。 時には大友克洋調を入れてみたり、ファンタジーに手を出してみたり、 こんなこともおれにはできるんだ、というアピールをしているようにも見えます。
その後、「マジカルルシィ」や「アッセンブル・インサート」、 そして「究極超人あ〜る」などの、一話完結型作品の時代が続きます。 このころには、ゆうきまさみとしての線が完成し、 あのやわらかい、あくのない絵ができ上がっています。
やはりこの時代、一話完結型であるというのが彼の若さを示しています。 何週にも渡ったストーリー構成をするには、 まだ力不足だったと思われます。
それでも、一話完結の作品をこれほど魅力的に描けたというのは、 やはり彼の才能でしょう。
その後、「あ〜る」の連載後半から、徐々にストーリー漫画の色彩が混ざり始め、 「機動警察パトレイバー」でストーリー漫画へと移行します。
そして、今へと至っているわけです。

彼の作品のうち、確認できた書籍を紹介します。 同人時代のものや、メジャー以前のものは、きっとまだあると思います。

究極超人あ〜る 全9巻 小学館
機動警察パトレイバー 全22巻 小学館
じゃじゃ馬グルーミン・UP! 1〜10 小学館
鉄腕バーディー 1〜 小学館
となりの異邦人 ゆうきまさみ短篇集 小学館
アッセンブル・インサート みのり書房
ヤマトタケルの冒険 みのり書房
ぱろでぃわぁるど みのり書房
マジカル・ルシィ ゆうきまさみ初期作品集 ラポート

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