1998年、原因不明のレイバー暴走事件が多発し始めた。
そこには天才プログラマーの影が。
しかし彼はすでに自殺してしまっていた。
聖書との暗号に基づいた犯罪計画の全貌が次第に明らかになってくる。
果たして東京は壊滅するのか?!
と、あらすじを見ると一見アクションかともとれる作品ですが、
そこはやはりパトレイバー、ただのアクションには終らせません。
映画中の東京の町並みは、現在の東京とほとんど同じで、
路地裏の生活感といったものがとても多く描写されています。
テーマにも関わってくるのですが、超高層の立ち並ぶ地区から一歩入ると、
土地狂乱の後で宙ぶらりんになった廃虚のような町が広がっている東京。
過去があっという間に一文の値打ちもないものになり、
現在すらも時の流れから逃れることはできず、
ただ未来への指向だけが存在する、幻想のような東京。
そんな東京の光と影のような光景が幾度となく繰り返されます。
天才プログラマーが超高層を毎日見上げながら、
いったいどんなことを考えていたのか。
これは、東京の都市論です。
監督の押井守のこれ以前の作品、「天使のたまご」 を知っているとまた感慨を覚えるでしょう。